一人は発達障害、もう一人は不登校のち中退、でもきっと大丈夫

上の子は発達障害、下の子は不登校のち高校中退しました。でもきっと大丈夫。

高校中退した息子のこれまで(29)

さあ、とうとう英語強化合宿の日がやって

きました。


きっと、大丈夫なはず。そう自分に言い聞かせました。


なぜなら、彼は前日に「楽しみだな〜」と

言っていたのですから。


クラスのお友達のA君と、合宿の帰りに

ご飯を食べて遊んでくるとのことで

楽しみだったのでしょう。

そのためのお小遣いを欲しい、と言ってきたので快諾しました。


持っていく荷物は私が揃えましたが、

前日には「これとこれも入れておいて」

と積極的に言ってきたので、


「多分大丈夫」と思いました。



ただ、合宿先までのバスの出発時間に合わせた、いつもより20分くらい早めの登校に間に合うように起きられるか、支度ができるか心配でした。



翌朝。


大丈夫。


自分自身に声をかけて起こしに行きます。



しかし、その瞬間に悟りました。



、、、無理かもしれない。


血の気がさーっと引くとはこのことでしょう。


前日とは打って変わって

陰鬱な表情、声、、、。



「、、、あと〇分(したら起きる)、、」


不機嫌そうに、

答えると、彼は再び寝入ってしまいました。


仕方なく携帯のタイマーをセットし、

5分後のアラームとともにまた起こしに行きます。


「起きよう?合宿だよ?」

声をかけると


「うるせえ!寝かせろ!」

とうとうキレてしまいました。


まずい。

絶対に行ってもらわないと。


声が上ずってきました。


「A君と約束しているんだよね?!

それに、行くならお小遣いもあげるし、

とりあえず、起きよう!?」


「しつこくするなら行かねえ!」


息子はキレて声を荒げると布団にもぐってしまいました。


自宅出発予定時間の40分前です。


自室に戻り、揃えた息子の荷物のそばに座っていると、


悲しい苦しい、気持ちが胸の奥から

こみ上げてきて、止まらなくなりました。


抑えても抑えても、涙も嗚咽も止まらず 

それでも声を殺して泣きました。


涙が止まりません。 



(あとで長男が

「あの時、お母さんがかわいそうだった」

と言ってきました。


自室にいる長男に聞こえていたのでしょう)





ここで休んでしまったら、また不登校に戻ってしまう。


それに、彼は、A君と遊ぶ約束を破ることになる。


やっとできた仲良しで、彼がいるから

多分嫌々でも登校できるのに。


約束を破ったら彼との関係も

変わってしまうのでは、、、。


いや。

行ってもらおう。

もう少し頑張ってみよう。


自分を奮い立たせます。


再び息子の部屋へ。


暖房をつけて部屋を暖めます。


「行こう。もし行くならA君と遊ぶ以外に

お小遣いあげる。


ね?!立とう?」


「、、、今日休んじゃだめ?」


とうとうその言葉が出ました、、、。


私はいつものパターンで切り抜けます。


「そうだ、着替えるだけ着替えて

行ってみよう?

コンビニにも寄ろう。


合宿から帰ったら休みだしね(数日間の休みがありました)。」


つとめて明るく、さりげなく、冷静を装って、


そして彼を立腹させず、うまく支度をさせる、、、。



、、、彼は、真っ青な顔をしていました。


もしその気分が目に見えるものならば

もはや自力では振り払えないほどの

黒い雲のような陰を全身にまとってしまって

いました。


、、、コンビニで買える好きな食べ物、

お小遣い、その他合宿のご褒美を

言葉でちりばめて、


何とか、何とか、車に乗せました。


いや、でも今日はいつもと違う様子です。


「休んじゃダメ?」


、、二度目です。


「うん、A君もきっと帰りに遊べるの

楽しみにしているよ?」


駆け引きのような、緊張感。


突然「腹が痛い!トイレに行きたい!」

と言いました。


「待って!コンビニ探すよ」

といったものの、方向音痴な上に、家と学校をつなぐ道以外には道も知りません。


また、時間もギリギリでした。


しかし、とにかく行ってもらわないと。

 

でも道がわからない。


知っているのは学校の近くのコンビニのみ。


道に迷ってしまったらそれこそ

行かれなくなってしまう。


アクセルを思い切って踏みました。


車を何台も追い越しました。


そして、、やっとコンビニに到着しました。



、、、教室への集合時間まであと15分くらい、、


ギリギリです。


しかし、当の本人は「もう治った。」


、、あぁ、良かった。ホッとしました。


彼は、「ズボンの下に履くタイツを忘れた。

あと、携帯のモバイルバッテリーも忘れたから買いたい。」


とのこと。


コンビニに入りましたが、

タイツも、バッテリーも売っていません、、、。


息子の顔色をうかがいました。


買わないなら行かない。そう言い出しかねません。


そこで、

「あなたを一旦学校まで送って、まだバスの

出発時間まで間があるからそれまでに届けるよ。」


そう伝え、とりあえず学校まで再度向かいます。

とうとう学校が見えました。


角を曲がれば校門です。


しかし、急いでカーブを曲がった時に

後部座席に積んでいた合宿のための荷物が

ガッタン、と音を立てて座席の下に落ちました。


それが息子の機嫌をさらに悪くさせてしまいました。

「もう行かない!!」


一大事です。

校門に車で入っていきながら、言いました。


「じゃあさ、帰ってきたからと思ったけれど


今、頑張ったご褒美にお小遣いあげるよ!


充電器も買ってくるよ。ね?」


お札を財布から出して渡します。


門の中にバスが待機していましたが

お構いなしで近くまで運転していきました。


人目があれば息子は逃げられないと思ったからです。


荷物と渋る息子をおろし、一安心。


バスの運転手、同伴の係りの人、、、


皆が見ている中息子は仕方なく校舎に向かって歩き出しました(続きます)。